本文へ移動

近年、国際化とともに多文化共生の社会になりつつあり、コミュニケーションの内容や手段は多様化しています。コミュニケーションのインフラとしての情報通信技術は進化し続けており、全てのモノがインターネットに接続可能となるIoT(Internet of Things)技術により、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の境目はなくなりつつあります。両空間に溢れる多種多様かつ膨大な情報(ビッグデータ)を人工知能(AI)技術により解析し、新たな価値を創出することも可能となってきました。これにより、言葉の壁や少子高齢化に伴う人手不足等の社会課題の解決に繋がる糸口も見つかりつつあります。しかしそれでも、ビッグデータから本当に価値のある情報を見出し、誰もがその情報を駆使して相互に理解し合い、次の行動を適切にとれるようになるかというとそれは容易なことではありません。

ユニバーサルコミュニケーション研究所では、誰もが分かり合えるユニバーサルコミュニケーションの実現を目指して、日本語を中心とし分野に特化した高品質・大規模データベースを核とするAI研究基盤を構築し、ビジネスで使える低遅延のAI同時通訳を可能とする多言語コミュニケーション技術、仮想的人格を用いてユーザの興味・背景に合わせた対話を可能とする社会知コミュニケーション技術、パブリック/プライベートデータを連携させた実世界の状況分析・予測を可能とするスマートデータ利活用基盤技術、及び、コミュニケーションの質を向上させる技術の研究開発とそれらの技術の社会実装に取り組んでいます。そして、これらの研究開発により得られた成果を実用的なシステムやデータベースとして実装・構築し、オープンソースとしてあるいは「高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)」 等の産学官連携の場を介して公開するとともに、民間企業等との共同実証実験やライセンス提供により研究成果の社会展開を推進しています。これにより、国際ビジネス、高齢者ケア、環境リスク低減等における言葉の壁・知識の壁・データ利活用の壁をなくし、社会課題の解決や新たな価値創造等に貢献します。

京都、大阪、奈良が接する「けいはんな学研都市」に立地する当研究所は、2025年開催予定の大阪・関西万博に向け、地域の研究機関等と共に、「けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会」等の産学官連携の活動を通して、地域の特色を生かした新たな産業の創出を目指しています。

研究所長 内元 清貴

特に学生の皆様へ

当研究所が研究対象としている分野では、大規模・高品質のデータベースとそれらを基に学習・処理するための強力な計算機環境が必須となります。当研究所には、Web 300億ページ規模のクロールデータや、複雑な質問応答のための学習データ等、様々な言語資源等のデータベースや、多数のGPGPUや、1000台近くになるサーバ群といったように、関連分野を研究する公的機関としては日本最大級のデータリソースと計算リソースがあり、さらに増強する計画です。国内外の学生の皆様を対象としたインターン制度や、奈良先端科学技術大学院大学等の大学との連携講座もあり、大学院生等の受入も行っております。当研究所の大規模データと大規模計算機を使って研究をしてみませんか?