ご挨拶

研究所長 内元 清貴

内元清貴

 近年、国際化とともに多文化共生の社会になりつつあり、コミュニケーションの内容や手段は多様化しています。コミュニケーションのインフラとしての情報通信技術は進化し続けており、全てのモノがインターネットに接続可能となるloT(lnternet of Things)技術により、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の境目はなくなりつつあります。両空間に溢れる多種多様かつ膨大な情報(ビッグデータ)を人工知能(AI)技術により解析し、新たな価値を創出することも可能となってきました。これにより、言葉の壁や少子高齢化に伴う人手不足等の社会課題の解決に繋がる糸口も見つかりつつあります。しかしそれでも、ビッグデータから本当に価値のある情報を見出し、誰もがその情報を駆使して相互に理解し合い、次の行動を適切にとれるようになるかというとそれは容易なことではありません。

 ユニバーサルコミュニケーション研究所では、価値ある情報を発見・創造・活用することにより誰もが分かり合えるユニバーサルコミュニケーションの実現を目指して、Web等のビッグデータを活用し、情報分析技術や実空間情報分析技術、音声翻訳技術の研究開発を推進してきました。2015年からは、自然言語処理や深層学習等のAI技術を駆使して大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや仮説を提示する社会知解析技術や、IoT技術により多様化したセンサ情報、画像・映像情報等の異種・異分野のデータをユーザの要求に応じて柔軟に利活用する情報利活用基盤技術を中心に研究開発に取り組んでいます。そして、これらの研究開発により得られた成果を実用的なシステムやデータベースとして実装・構築し、オープンソースとしてあるいは「高度言語情報融合フォーラム(ALAGIN)」 等の産官学連携の場を介して公開するとともに、民間企業等との共同実証実験やライセンス提供により研究成果の社会展開を推進しています。

 京都、大阪、奈良が接する「けいはんな学研都市」に立地する当研究所は、2025年開催予定の大阪・関西万博に向け、地域の研究機関等と共に、「けいはんな情報通信オーブンラボ研究推進協議会」等の産学官連携の活動を通して、地域の特色を生かした新たな産業の創出を目指しています。

特に学生の皆様へ

 当研究所が研究対象としている分野では、大規模・高品質のデータベースとそれらを基に学習・処理するための強力な計算機環境が必須となります。当研究所には、Web 300億ページ規模のクロールデータや、複雑な質問応答のための学習データ等、様々な言語資源等のデータベースや、多数のGPGPUや、1000台近くになるサーバ群といったように、関連分野を研究する公的機関としては日本最大級のデータリソースと計算リソースがあり、さらに増強する計画です。国内外の学生の皆様を対象としたインターン制度や、奈良先端科学技術大学院大学等の大学との連携講座もあり、大学院生等の受入も行っております。当研究所の大規模データと大規模計算機を使って研究をしてみませんか?